AP Racing社 - 3Dプリンティングで新たなビジネスを獲得

完璧な販売ツールを求めて

イギリスに拠点を置くAP Racing社は、公道仕様車やレースカー向けの高性能なブレーキシステムとクラッチシステムを扱う自動車メーカーです。1967年以来、同社はすべてのF1チャンピオンシップに参加してきました。顧客のために限界を超えようと常に努力している会社であり、15年以上前に、部品のプロトタイピングを目的に初めての社内3Dプリンティング機能を確立しました。間もなく同社は、ツーリングと最終製品部品の製造のために3Dプリンティングを利用し始めました。

著名なF1クライアントとのビジネスをしっかりと維持するために、当社のチームは、クラッチコンポーネント向けにFEAプロットの3Dプリントモデルを製作することを決断しました。でき上がったモデルが非常に正確でまるで実物のようであったため、クライアントはすぐさま設計決定を理解し、発注に至りました。」

John Schoon氏
AP Racing社、シニア設計エンジニア

しかし、ほどなく競争が激しくなり、クライアントからの要求もより高度なものになりました。加えて、ブレーキやクラッチシステムの設計は非常に複雑であり、各部品には高い初期ピークの動的負荷がかかります。キャリパーなどのコンポーネントを設計する際、AP Racing社のチームは、検査のために詳細な有限要素解析(FEA)プロットを実施します。FEAを通じて対象物を各コンポーネント要素に分解し、負荷応力が材料や設計にどのような影響を与えるのかをシミュレーションできます。この解析は、ブレーキやクラッチが車体内で最適に動作する方法を確認したり、負荷がコンポーネント全体でどのように分散されるのかを確認したりするのに不可欠です。AP Racing社が自社のソリューションをうまくアピールし、他社と差別化するには、非常に精細(解像度0.014mm)かつ正確で鮮やかなプロトタイプを同時に作ることができる技術のほか、複数材料を使用した高度なツールが必要でした。

3Dプリントされたキャリパーモデル

キャリパーモデルのデジタルFEAプロット。

アイデアを形に

同社は顧客にAP Racing社の優れた部品を見てもらうため、世界で唯一、フルカラーで複数材料に対応したStratasys J750™ 3Dプリンタを使ってプロトタイプの製作を開始しました。AP Racing社は現在、FEAプロットを3Dプリントし、その設計の実行可能性を潜在顧客に示しています。「著名なF1クライアントとのビジネスをしっかりと維持するために、当社のチームは、クラッチコンポーネント向けにFEAプロットの3Dプリントモデルを製作することを決断しました。J750を利用すれば、クラッチバスケットのFEAプロット全体の3Dモデルを、複数材料かつフルカラーで作ることができます。でき上がったモデルが非常に正確でまるで実物のようであったため、チームはすぐさま設計決定を理解し、発注に至りました。」とAP Racing社のシニアデザインエンジニアであるJohn Schoon氏は説明します。

同社は顧客にAP Racing社の優れた部品を見てもらうため、世界で唯一、フルカラーで複数材料に対応したStratasys J750 3Dプリンタを使ってプロトタイプの製作を開始しました。

3Dプリントされた、キャリパーモデルのFEAプロット(Stratasys J750 3Dプリンタを使ってプリント)。

効率性を最高水準に

これまでAP Racing社は、ブレーキキャリパーのプロトタイプを機械加工しなければならなかったため、大きなコストがかかり、かなりのリードタイムが必要でした。現在、社内にあるJ750のおかげで、プロトタイプキャリパーをわずか24時間以内に作ることができます。正確性を損なうことなく、時間が大幅に節約されています。

「プロトタイプのブレーキキャリパーの場合、シール、ピストン、固定具、ブレーキパッドなど内部コンポーネントの備え付けをすべて確認する必要があり、絶対精度が非常に重要になります。」とSchoon氏は説明します。「これまでは、3Dプリントされたブレーキキャリパープロトタイプには機能面で制限がありました。しかし、J750のおかげで非常に正確なプロトタイプを作れるようになっています。同時に複数の材料でプリントできるため、キャリパーのプロトタイプ上に実際の機能を備えたねじ山を作ることが可能です。そうすることで、車両のサスペンションについてより正確な試験を実施し、設計プロセスのかなり早い段階で潜在的な問題を発見することができます。このことは、当社が設計において成果を上げるために絶対に必要な要素です。」

AP Racing社はまた、革新的で高度なツーリング用途向けにStratasys J750を利用することで、効率性も実現しました。AP Racing社が作るほぼすべてのツールは1個限りのものであり、チームは通常、外部サプライヤーに委託していました。そのため、しばしばコストはかさみ、リードタイムが長くなり数週間にも及びました。現在はJ750のおかげで、ツールをわずかなコストで24時間以内に3Dプリントできます。

AP Racing社は、レーザーエッチングの固定具の製造時間とコストも削減しました。レーザーエッチングの固定具はどれも非常に複雑であり、高精度のポジショニングが可能なカスタマイズ固定具が再現性を備えているということは、きわめて有益です。従来の方法ではコストがかかるため、Schoon氏のチームは3Dプリントによるカスタムのプラスチックモデルを開発しました。これにより生産スピードが上がり、しかも要したコストはわずか£100でした。

この先に目指すチェッカーフラッグ

J750の先進的な機能のおかげで、AP Racing社の将来は輝きを放っています。「積層造形を利用することで、少量のカスタムツールを自由に設計できます。かつてこのようなことは考えられませんでした。」とSchoon氏は言います。「材料に関するさまざまな要件を満たし、各ツールが期待通りのパフォーマンスを上げられるようになっています。強靭なABSとAgilus30™を組み合わせれば、弾性があるツールを製作し、ゴムライクな材料でコーティングして製品の塗装部分へのダメージを防ぐこともできます。」

Schoon氏は、同社の製品開発において素晴らしい展望が待っていると考えています。「言うまでもありませんが、この時点でこの技術が当社のプロセス内に統合されている範囲と、私たちが享受し定量化できているメリットを踏まえれば、私たちは将来的にこの技術をさらに活用するに違いありません。」