検索結果に戻る Stratasys 3D Printing drove the look for Yuima Nakazato’s fashion line

ファッションデザイナー 中里唯馬

Objet500 Connex で
想像上のスポーツウェアを造形する
ファッションデザイナー、中里唯馬

「樹脂素材がもっと進化すれば、縫製のない立体的な服を
3D プリンタで簡単に作れるようになります。
どんな難しい形状でも、想像した通りに作れるのです」
— ファッションデザイナー 中里唯馬

造形ファッションに挑む

A 3D printed bib Nakazato created for his fashion line

筋肉組織をイメージしたデザインを
3Dプリントしたモデル

造形素材を駆使し、モノと服が融合した独自の世界観を表現するファッションデザイナー、中里唯馬氏。最新のメンズウェアコレクションで氏は3D プリンティングをデザインに活かしたスポーツウェアを発表した。近未来の荒廃したスタジアムで、チームユニフォームに身を包み、マシンを駆ってゴールを目指す若者たち。アーティストの斬新な想像をかたちに変えたのはストラタシスのObjet500 Connexだ。

ファッションウィ―クのトップデザイナー

The 3D printed bib added a key look – and feel – of Nakazato’s line

Photography by Yasunari Kikuma.
Stratasyの3Dプリンティングが
中里唯馬氏のファッションラインに

パリ、ニューヨーク、ミラノ、ロンドン、東京と、世界の大都市で毎年開催されるファッションの祭典、ファッションウィーク。2012 年、震災後初めての東京ファッションウィークで、メディアの注目を集めたひとりの新進デザイナーがいる。メインスポンサーであるメルセデスベンツのプレゼンツデザイナーに指名され、オープニングショーを飾った中里唯馬氏だ。

そのプロフィールは華々しい。1985年、東京生まれ。2004年、アントワープ王立芸術アカデミーの卒業コレクションでイノベーション賞を受賞。シューズデザインが認められ、ベルギー王立モードミュージアムに永久保管。2008年イタリアで開催されたディーゼル社のタレントサポート世界大会でVERTICE賞を受賞。2009年、自身のブランドを立ち上げ、パリを中心に作品を発表。レディ・ガガなど国内外のセレブリティやアーティストに衣装を提供。2011 年には業界誌で最も注目の若手デザイナーに選ばれた。

Black and White Conceptual sketch by Nakazato

3Dデータのレンダリングイメージ

造形モデルをスポーツウェアに

中里氏のアパレル作品の最大の特徴は素材に対する独特のアプローチだ。通常衣服は柔らかい平面素材である布で構成されるが、氏は金属やプラスティックなどハードで立体的な素材を多用する。この特徴は氏の最新コレクションにも現れており、そこで中里氏は3D プリンタで作った造形をデザインに取り込んだ。こうした試みは国内初だ。

「地下の荒涼としたスタジアムで、若者たちがバイクのようなマシンに跨り、ボールを奪い合っている」と中里氏はコレクションのコンセプトを語る。その近未来的な架空スポーツで着用されるユニフォームがコレクションの主役である。ユニフォームには他の競技のようにゼッケンがついているが、その形状はまったく独自のものだ。赤い光沢を帯び、あたかも筋肉が露出したようなそのテクスチャ。体温すら感じさせるその質感はストラタシスの独自の樹脂マテリアルによって作りだされている。造形したのはストラタシスのObjet500 Connexだ。「これまでは加工の制約で100%思い通りの造形をすることは難しかったけれど、今回はほぼ想像どおりに仕上がった」と中里氏は3Dプリンタの造形力を称賛する。

中里氏のデザインパートナー、孫君杰(サン・ジュンジ)氏も3D プリンタの威力を語る。孫氏は中里氏のコンセプトスケッチをもとに、3 次元設計を担当した。氏はまずゼッケンのテクスチャを生みだす筋肉線維のモデリングから始めた。筋肉繊維を束ね、有機的な形状に仕立て上げるのだ。

ゼッケンはそれぞれオリジナルデザイン。どれも形状が異なる上、複雑に絡み合ったディテールが要求されている。競技は1チーム5 人の想定なので、5 つモデリングしなければならない。金型加工で作っていたら試作も含め膨大なコストと時間を要しただろう。しかし、孫氏はほとんどコストをかけず、わずか4ヶ月で完成させた。「3Dプリンタを使えば材料費だけで何度でも簡単に試作が行えます。設計画面を睨むのではなく、作りながら、足りないところを足していけばいい。5 点のゼッケンを短期間で仕上げることができたのは、3D プリンタのおかげです」。孫氏はゼッケンのほかに架空のスタジアムのミニチュアモデルもObjet500 Connex で造形した。

Pink Conceptual sketch by Nakazato

中里氏のコンセプトスケッチ

微細な形状もリアルに再現

Yuima Nakazato

中里 唯馬 氏

今回試作に使われたストラタシスのObjet500 Connex は、インクジェットノズルから噴射した特別樹脂を紫外線で硬化させるPolyJet 技術を採用し、積層厚0.016mmという精密造形を可能にした3Dプリンタだ。さらに透明、高耐熱性、ゴムライクなど多種の材料を組み合わせて使えるので、思い通りの質感を再現することができる。

「材料の幅が広いうえハイスピードで質の高い造形ができるので、これならデザイナーのどんな高い要求もクリアできます。もしかするとこの技術は通常のものづくりだけでなく、アートやファッションの世界も変えてしまうかもしれません」と孫氏は話す。

常識を塗り替える

中里氏もまた「3D プリンタにはこれまでの常識を塗り替える力がある」と語る。「デザイナーは従来、布と糸で衣装を縫製してきましたが、樹脂素材がもっと進化してくれば、3D プリンタで縫製のない立体的な服を簡単に作れるようになります。どんな難しい形でも、想像した通りに作れるのです」

一方で、服づくりのプロセスも大きく変わる可能性を秘めています。「明日、大事なパーティがあるのでこの前見たあのドレスを今日作ってすぐに送ってほしい、というような注文をアメリカのお客様から受けることがあります。でも、今日日本で作ることができたとしても、送るとなると明日のパーティには間に合いません。しかし3D プリンタで服が作れるようになれば、データを送ってあげるあとは何もいらないのです。向こうで今日造形すれば、明日のレッドカーペットには十分間に合います」と中里氏は話す。

これは夢物語だろうか?たしかにまだ3D プリンタで完全な衣装を造形した話は聞かない。しかし、布の感触とテクスチャを再現できる材料が開発されたとしたら……。レオナルド・ダ・ヴィンチの時代に空を飛ぶ機械の話をしたら誰もが笑って首を振っただろうが、いま空を見上げれば、そこに飛行機は飛んでいる。技術はつねに常識を破って進化してきた。ボタンひとつでお気に入りの服を作る時代など絶対に来ないと、断言できる者はいないだろう。

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