検索結果に戻る 3D printing helps Thermos lead its industry

サーモス

Dimension とObjet Connex
3Dプリンタで試作コストを削減し、手軽に
デザイン検討商品開発力を伸ばすサーモス

「軽量化はもちろん、感触や操作性、 さらには飲物の注ぎ具合の検証まで、
以前できなかったことができるようになりました」
— サーモス株式会社 開発部設計課
マネージャー 松山 真 氏

Shin Matsuyama

開発部設計課
マネージャー 松山 真 氏

Takahiro Maruyama

開発部設計課
新商品係 丸山 高広 氏

Final product, and a 3D printed model

実製品(左)とプリントモデル

ライフスタイルを試作する

世界屈指の魔法びんメーカー、サーモス。ブランド力、企業規模、市場シェアで常にトップを争うその競争力の秘訣は、新しいライフスタイルを提案する斬新な商品群。同社は製品開発のあらゆる局面でストラタシスの3Dプリンタを活用し、商品力を向上させている。新人エンジニアでも3次元CADデータからすばやく手軽にものを造形できる3Dプリンタは、同社の開発戦略に欠かせないソリューションだ。

魔法びんのグローバルブランド

1904年、世界で初めてガラス製魔法びんを製品化したサーモス。以来、高真空ステンレス魔法びんや超軽量チタン製魔法びんをはじめ、真空保温調理器シャトルシェフ、真空断熱スポーツボトルなど、数々の「世界初」を世に送り出してきた。英語で魔法びんといえば「サーモスボトル」と呼ばれるゆえんだ。その旺盛な開発力の秘訣について、開発部設計課マネージャーの松山真氏は「新しいライフスタイルを提案するものづくりの姿勢」を挙げる。
最近発売された真空断熱ケータイマグはその好例だ。サーモス史上最軽量のこの断熱マグは、従来の魔法びんのイメージを変え、マイボトルとしてどこにでも持ち運べる携帯性が受けて年間300万本を売るヒット商品となった。こうした「これまでにない商品」の開発には、無数のアイデアを検証する試作が欠かせない。しかも限られた期間内でそれを行わなければ市場競争に遅れをとる。サーモスの開発現場で試作のスピードと機動力を生み出しているのは、ストラタシスの3Dプリンタだ。

設計環境の3次元化で導入

サーモスがストラタシスのDimension 768 SSTを導入したのは2006年のこと。バーチャルエンジニアリングを推進する国内製造業の流れや、高度化する設計要件、海外との開発コラボレーションといった環境変化に対応するため、開発部は2006年に従来の設計ツールをハイエンド3次元CAD に入れ替えた。3Dプリンタはこの際に補完ツールとして導入されたのだ。

「スタンダードな機能性を備え、価格も手頃、材料に強度があり、比較的大きなサイズの造形ができる点がよかった」と松山氏はDimension 768 SSTの選択理由を挙げる。一般的なプラスチック製品に多用され、安全で扱いやすいABS樹脂を用いて造形できるのがこのモデルの特徴だ。

当初はサポート材の設定や造形部品の配置で手探りの面もあったが、3Dプリンタは手軽な試作ツールとして若いエンジニアに歓迎され、開発部に定着した。魔法びんは春先から夏にかけて販売が伸びる。そのためそこに向けて新モデルの開発も集中する。当然、試作の機会は増え、Dimension 768 SSTはすぐにフル稼働となった。
3Dプリンタの効果を実感した開発部は、2008年に2 台目としてDimension Eliteを導入。さらに2012年には、マルチマテリアル造形ができるObjet260 Connexを導入した。

数日の試作期間が数時間に

外注の試作モデル費用は割高なので、3Dプリンタを活用するメリットは大きい。「費用は主に材料費だけを考えればよいので、社内でいろいろと試せます」と松山氏は話す。「形状をコンマ数ミリ単位で変え、段階的に加工性や操作性の検証をしています」。試作コストは一概には比較できないが、一件当たり平均で8割以上は削減できるという。また、スピードと機動力も魅力だ。以前は外注で数日かかっていた試作が、数時間で終わる。小さな部品ならわずか数十分という速さだ。

開発部で3Dプリンタの運用を担当する丸山高広氏も効果を実感する。「ボタンの押し具合や止め具の摺動性(しゅうどうせい)、液体の吐出性(としゅつせい)などが、3Dプリンタで手軽に検証できます」。また、金型や加工機ではうまく作れない形状が造形できる。「たとえば断熱ボトルの内筒にはねじ形状がありますが、これは切削加工ではかなり難しい。しかし3Dプリンタなら何も気にせず一発で作れてしまいます。金型でいうアンダーカットの形状も難なく造形できます」。

さらにもうひとつのメリットは、トレーニング不要の使いやすさだ。「基本的に3次元CA のST データをプリンタに送ってボタンを押すだけ。それで形状ができあがります」と丸山氏は説明する。「新人でもとっつきやすく、若いエンジニアならデータを見てあれこれ悩むより実際のものを見たほうが勉強になります」。メンテナンスは一日一回のクリーニング程度。これなら開発部だけで十分運用できる。

FDMとPolyJetの使い分けで効率化

サーモスが導入したDimensionシリーズとObjet Connexシリーズは、それぞれストラタシスの造形技術を代表する3D プリンタだ。前者はABS 樹脂を用いるFDM(熱溶解積層法)、後者はアクリル系光硬化樹脂によるPolyJet(インクジェット紫外線硬化法)を採用している。FDMで造形したモデルは頑丈で耐久性があるため機能試験や実製品の製造に向く。一方PolyJetは精度をもってディテールを作り込むのに優れ、造形材料も豊富なため商品の外観や手触りの検討などに多用される。また、造形したモデルで恒温下での水試験やガス試験が可能な点も魅力だ。これらの2 つの造形技術をうまく使い分けることで、設計レビューや品質テスト、加工工程を効率化し、開発期間を短縮することができる。

適用範囲は開発プロセス全体に

実際、サーモスでは設計だけでなく、商品企画の試案モデル、品質規格試験の検査用冶具、量産試作など、開発プロセス全体で3Dプリンタを用いている。「工夫次第でいくらでも使い道はある」という松山氏は「3Dプリンタが壊れたら別の3Dプリンタで部品を作ればいい」と笑う。

いま魔法びん業界はグローバル競争の時代。国内や米国の大手ばかりでなく、中国の新興メーカーも台頭しはじめている。当然、商品開発を巡る戦いは激しさを増す。「魔法びんとはいえ、商品は年々複雑になってきています」と松山氏。「軽量化はもちろん、感触や操作性、さらには飲物の注ぎ具合まで、設計要件は目白押しです。以前では時間の制約で実現できないものもありましたが、3Dプリンタのおかげでそれが実現できるようになりました」。
造形されたケータイマグのモデルを手にしながら松山氏は言う。「市場は常に変化しており、メーカーはその変化の兆しを捉えてつねに新しいものを提案していかなければなりません。競争に勝つためには、いかにアイデアを早くものにできるかが大きなポイント。そのためにも3Dプリンタをもっと積極的に活用していくつもりです」。

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