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有限会社スワニー

Objet260 Connex で樹脂金型を造形
新技術に金型職人の熟練の技を合わせ
ビジネスを飛躍的に伸ばすスワニー

「3D CADでどんなに形状を検討し、どんなに優秀なソフトで解析しても、最後はモノで評価しなければ実際のところはわかりません。3Dプリント金型を使えば早い段階でそうした評価を行うことができ、量産金型の修正コストを大幅に削減できます」
— 有限会社スワニー 代表取締役社長 橋爪 良博 氏

橋爪 良博 氏

デジタルモールド®で職人技を活かす

長野県伊那市にある総勢14 名のものづくり支援企業スワニー。同社は通常の設計業務とともに3Dプリントモデルを金型に応用したデジタルモールド® で、ビジネスを飛躍的に伸ばしている。その成功の秘訣は、職人の熟練と最新技術を融合させるものづくりノウハウと、多彩な要望に機敏に応える企画力、提案力、そして実現力。それらの力を根底で支えているのは、ストラタシスのObjet260 Connexだ。

駆け込み寺の成功

伊那市の小さな金型製造会社で成形品の初打ちを待っていたのは、スワニーの橋爪良博社長。視線が向かう成形機のモールドベースには、薄い緑色をした入れ子がある。通常なら金属だが、そこに収まっているのは樹脂製の3Dプリントモデルだ。「あれが、うちのデジタルモールドです」と橋爪社長は説明する。 経済省の中小企業白書で「ものづくりの駆け込み寺」と評されるスワニーは、製品設計受託と商品企画サポートを主な業務とする設計会社だ。創業は1970年、マイクロモーターのコイル巻線や静電粉体塗装を行う町工場だったが、国内メーカーのアジアシフトで業績が悪化、2010年、大手家電メーカーなどで設計や生産技術を学んだ橋爪氏が両親から経営を引き継ぎ、新しいサービスを立ち上げた。プラスチック意匠部品から板金部品、医療製品やFA 機器、木工製品などありとあらゆる商品に対応し、3次元設計、リバースエンジニアリング、樹脂切削、塗装といった広範な技術を駆使して、要求されたデザインやモックアップを一から作り上げる。

2013年に3Dプリントモデルと金型を融合させた同社の「デジタルモールド」が日経新聞に採り上げられたこともあり、伊那市にあるスワニーの社屋には工学系の大学教授をはじめ宇宙開発から自動車、医療、家電など、多種多様な業界の人々がアイデアや課題を抱えてやってくる。かつて3社しかなかった取引先の数はわずか3年で198社を数えるほどになった。

 

射出成型機に取り付けられた3D プリンタで作成した
樹脂型キャビティ

全員一致でObjet260 Connexを選択

いま橋爪社長が初打ちを待っているのは、自動車のライトなどに見られる光拡散用フィルタだ。拡散の効率によりLED ランプの数を半減させることもできるので、試作が欠かせない。屈折率や光の投射を調べる解析ツールもあるが、最終的にものをいうのは製品樹脂で作った試作品だと橋爪社長は言う。「3D CAD でどんなに形状を検討し、どんなに優秀なソフトで解析しても、最後はモノで評価しなければ実際のところはわかりません。

3Dプリント金型を使えば早い段階でそうした評価を行うことができ、量産金型の修正コストを大幅に削減できます」。その「モノ」を生み出すのはストラタシスのObjet260 Connexだ。硬質、透明、ゴムライク、耐熱などさまざまなタイプの樹脂材料が利用できる上、滑らかなフォルムをすばやく造形できるので、多様な形状・機能確認を伴う同社の業務ニーズに適している。2011年の導入検討の際、Objet260 Connexの造形力を目の当たりにしたスワニーのエンジニアたちは、全員一致でこの機種を推した。

橋爪氏は3Dプリンタのこんな利点も強調する。「若い設計者は経験が少ないので、冒険するのを怖がる。しかし3D プリンタのモデルでならいくら失敗しても構わないのです。どんどん失敗できる環境を作っておくことで設計者は冒険するようになり、そこからいいアイデアが生まれてきます。その意味でもConnexは価値ある投資でした」。しかも、投資回収はすでに終わっていると橋爪氏は話す。

 

モールドを成形機に取り付けているところ

デジタルモールドの活用法

橋爪氏が待っていたフィルタの初打ちが成形機から取り出された。転写されたロゴマークの出具合を確認しながら氏は「3D プリンタをこんなふうに金型に応用するアイデアはConnex の導入当初からあった」と振り返る。「材料のABS 樹脂は耐久性があるので、その上にアクリルなどを流しても大丈夫だろうと思っていたんです」。だが、橋爪氏はすぐにこう釘を刺す。「ただ、何でも金属金型なしで成形できると思うのは間違いです。商品を千単位で作るようなときは、やはり金属金型が欠かせません。金属金型の一部の形状を検討したいので3Dプリント金型で試してみる、というのが正しいアプローチです」。

その点を踏まえたうえで、橋爪氏はデジタルモールドのメリットについてこう語った。通常、金属金型は成形品を見ながら何度も修正して完成に近づけていくが、修正回数が増えれば予算がかさみ納期が長引く。しかし、もし金属金型と並行して3Dプリンタの樹脂金型で評価を行うことができれば、結果を量産用金属金型に反映させることができる。それにより修正のコストと工数を大幅に削減できるという。仮に5回の修正が2回に減れば、それだけで大きな節約だ。
このほかにも、急なデザイン変更に数時間で対応できる点、雑貨のような単純製品なら50~100ショットほどの小ロット生産が可能だという点を橋爪氏はメリットに挙げた。

 

光拡散フィルタ用のメタルバッキングのプロトタイプ

職人技と新技術の相乗効果

3Dプリンタの樹脂金型は、入れ子をモールドベースに嵌め込んで終わりというような単純な話ではない。成形の際、温度や圧力を微妙に加減しければならず、それを誤れば型は壊れる。ゆえにそこには金型職人の熟練の技が不可欠だ。一般に3D プリンタは金型の仕事を奪うと思われがちだが、スワニーの現場にそれは当てはまらない。
ここでは最新の技術と長年の職人技が相乗的に融合し、ものづくりの新しい力を生み出している。

「長野には昔から大手家電メーカーも多く、下請けは熟練の技の宝庫です」と橋爪社長は語る。「デジタルモールドで新しい仕事を呼び込めば、金型の職人技がまた息を吹き返します。町工場には機動力があるので、新しいアイデアを臨機応変に試すのにも都合がいい。それがまた仕事につながり、地域のものづくりが活性化していく。そうなれば嬉しいですね。3Dプリンタは、その起爆剤になるかもしれません」。そう言って橋爪社長は、次の成形品の評価に向かった。

 

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