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3Dプリンタで変わる、製品開発とデザイン 第3回

デザインとものづくりを変える3Dプリンタの進化と条件

2015年10月20日  執筆者:原田 逸郎

進化と共に変化する3Dプリンタの役割

前回、3Dプリンタの進化が、ものづくりにおけるデザインの役割を変化させる、という記事をご紹介しましたが、実際に3Dプリンタはどのように進化し、どのようにデザインやものづくりに影響を与えているのでしょうか。


ラピッドプロトタイピングという言葉に代表されるように、本来、3Dプリンタの役割は、最終製品に落とし込む前の試作品製造を目的としたものでした。この3Dプリンタの本質とも言えるラピッドプロトタイピングは今尚、さまざまな形で、ものづくりの現場に革新をもたらしています。


しかし、最近では、その枠を超えた「新たな役割」をものづくりの現場にもたらしはじめています。ラピッドマニュファクチャリングとも呼べるその新たな3Dプリンタの使い方は、製造工程に劇的な変化を与えています。また同時に、その製品が持っている潜在的な力を最大限引き出すパワーを持っていると言っても過言ではありません。それは、製品企画から最終製品のアウトプットまで行う一連の流れの中で、デザインの役割を大きく高める力と言えるでしょう。更には、「誰のどんな課題を、どう解決するか」といったプロダクトの存在価値すらも最大限高める力を秘めています。


今回はそんなラピッドマニュファクチャリング、すなわち最終品の製造といった新たな価値を発揮する3Dプリンタに必要な条件と、そこから見える可能性について、ご紹介したいと考えております。

ものづくりとデザインを変える3Dプリンタの三条件

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まず、具体的な事例をご紹介する前に、3Dプリンタの役割を劇的に変化させる主な理由はどのような点が挙げられるのでしょうか。従来は試作品しか作ることができなかった3Dプリンタが、ラピッドマニュファクチャリングと言われる最終製品の製造に使うことができるための条件とは何か。それは大きく分類して3つの条件が整っていることが必須かと考えられます。

デザインと機能性を忠実に再現する「精度」

第一の条件に挙げられるのが「精度」です。いくらデジタルデータからダイレクトに物体が造形できるとはいえ、完成されたもののクオリティが低ければデザインや機能を忠実に再現できません。デザインとしてのクオリティが伴わない場合人の心を打つことができず、また耐久性や強度といった機能を再現することができなければモノとしても使用することができません。どれだけ忠実にデザインをデータ通りに再現できるか。どれだけ道具として機能性を発揮することができるか。こうした点を踏まえて、基本的な製造マシーンとしての精度が向上したことが第一に挙げられます。

デザインと設計の幅を広げる「素材」

第二の条件は、「素材」が挙げられるでしょう。
第一の条件である「精度」とも大きく関係してくる要素ですが、どんな機能を持つ「素材」をいかに「精度」よく造形するということが重要になります。例えば、我々の生活の周りに当たり前のように存在するプラスチック素材一つとってみても、さまざまな特性を持つ樹脂素材が存在し、作るプロダクトのデザインやパーツの機能によって素材の向き不向きがあります。プロダクトデザインではその製品の機能と印象を最大限発揮することができる素材を選択することが行われますが。同時に3Dプリンタはその素材を使って忠実にデザインを再現することが求められます。ちなみに素材と製法は本来一体となったものですが、これまでの伝統的な製造方法でしか使用されてこなかったさまざまな「素材」が今、3Dプリンタで使用され始めています。

製品開発と生産のスピードを高める「時間」

第三の条件は「時間」です。ここで言うところの「時間」とは、3Dプリンタで物体が製造される時間のことで、どれだけ早く、かつ正確に作られるかということが3Dプリンタの性能を決める重要なファクターになると言えるでしょう。

例えば、従来よりも2倍のスピードに3Dプリンタの造形速度が向上すれば、同じ時間に作ることができる物体は2倍に、すなわち生産スピードは単純に2倍になります。また同時にデザインを確認しフィードバックする速度も、造形スピードが2倍になれば、これまでの半分の時間で済むことになります。この3Dプリンタの製造時間は、まだ開発の余地があり、今後ますますスピードアップを果たしていくと考えられています。

3Dプリンタはものづくりを効率化し、デザイン本来の役割を強化する

上記で述べたように、3Dプリンタを単なる試作品製造マシーンから、最終製品のダイレクト製造を可能にする背景には、この3つの条件、「精度」、「素材」、「時間」の向上があります。素材のバリエーションが増えれば、作れる製品の幅も拡大し、スピーディに高精度で造形が可能になれば、迅速に市場にプロダクトを投下することができるようになります。他社に先駆けてプロダクトを投入し、そこから得られる市場からのフィードバックを迅速に製品のデザインと機能に反映、改良を大幅にスピードアップすることができます。


こうした高性能な3Dプリンタがもたらす変革は、製造工程の変革のみではありません。「誰にどんな価値を提供するか」といった製品コンセプトと、それを具現化するデザインの力も大きく高めてくれるのです。例えば、体に身に付けるフィジカルプロダクトでは、その人ならではのフィジカルデータに製品を最適化することが可能となり、千差万別の個人の要望に応えられることができるでしょう。こうした3Dプリンタならではの製造が、「誰のどんな課題を、どう解決するか」といったデザイン本来の役割を、より細かく、より正確に行うことを可能にするのです。


次回では、ストラタシスのFDM 3Dプリンタを中心に、具体的な事例をご紹介しつつ、製造現場におけるデザインの変化と、製品の価値を高める3Dプリンタの力をより詳細にご紹介します。

株式会社アイ・メーカー 代表取締役 原田 逸郎

株式会社アイ・メーカー 代表取締役 原田 逸郎
明治大学公共政策大学院卒。広告代理店にて大手タイヤメーカー、自動車メーカーなどの総合広告、ブランド・コミュニケーション、マーケティングを行う。その後、専門商社にて測定器関連事業の製品企画・開発を経て、2013年に株式会社アイ・メーカーを設立。これからの時代のものづくりに影響を与える3Dプリントとデジタル技術の情報サイト「i-MAKER.news」を運営。

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