3Dプリンタコラム

オープンイノベーションがもたらすものづくり革命 第5回

情報やツールのオープン化が イノベーションを加速させる

2015年10月15日  執筆者:株式会社カブク 稲田 雅彦

「オープン化」の潮流が、ものづくりに革命を起こす

2014年、3DデザインソフトのトップメーカーであるAutodesk(オートデスク)が、とても大胆な取り組みをスタートさせて話題を集めました。全世界188ヵ国6.8億人の学生に向けて、自社の3Dデザインソフトを無料で開放したのです。


今、デジタルコミュニケーションにおける大きな流れのひとつとして、「オープン化」というキーワードが挙げられます。ソフトウェアの世界では、フリーソフトウェア「Linux」が象徴するように、ソースのオープン化が起こったことで世界中の有志たちがこぞってプログラムに改良を加え、産業全体を圧倒的なスピードで成長させてきました。その潮流がついにハードウェアの世界をも動かし、ものづくりに革命を起こそうとしています。

ツールのオープン化

誰もが無料で、デザインソフトや設計ツールを使える時代に

冒頭にも登場したAutodeskは、無料3D CAD・CGツール「123D Design」をリリースし、2014年始めにはダウンロード数が1億5000万件を超えています。 (参照元:月間 「事業構想」2014年2月号)


以前であれば、プロユースの3D CADの価格帯は100万円ほどで、個人やスモールオフィスにとっては、敷居が高いツールでした。しかし、現在は「123D Design」をインターネット上からWindows PC、Mac、iPadに無料ダウンロードし、誰でも手軽に3Dデータをつくることができます。

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さらに、無料電子回路設計ツール「123D Circuits」や「Circuits.io」もリリースされていて、筐体だけでなく、中の回路まで設計することができるようになっています。知識とスキルさえあれば、個人でも電化製品をつくり出せる時代が、すでにやって来ているのです。


こうしたツールの普及拡大は、いわゆる「メイカーズ」と呼ばれるような、ものづくりに携わる人々の裾野を広げ、また、スタートアップによる新規参入やチャレンジを支えます。そして、ハードウェア産業全体の活性化に寄与していくことが期待されています。

レシピ・ノウハウのオープン化

ものづくりのレシピを投稿し合い、共有する

ツールだけでなく、情報のオープン化も進んでいます。ものづくりノウハウ共有サイト「Instructables は、料理のレシピを投稿・共有する人気サイトcookpad(クックパッド)のような感覚で、さまざまなモノのレシピ(材料・作り方など)が投稿され、誰もがその情報を見ることができます。

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サイト上には、ちょっとした小物の倒立ロボットの作り方から、3Dデータのモデリングの仕方まで、実に多様性に富んだ情報が集まってきています。

データのオープン化

ものづくりデータの共有サイトが生む、新しいコミュニティ

さらに、3Dデータそのものを共有するサイトも誕生して注目を集めています。その代表的なものが「Thingiverse」と「GrabCAD」でしょう。

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さまざまなアクセサリパーツやプロダクトの3Dモデルデータが、共有サイト上にアップされており、取得したいデータがあれば手軽にダウンロードすることができます。そして、そのデータに別のエンジニアが改良を加えて、またアップロードし、さらに別の誰かがアレンジを加えるなど、共有サイトをプラットフォームにした新しいコミュニティが生まれています。

新しいものづくりを可能にするインフラは、もう整っている

このように、オープン化の流れがさまざまな面で同時進行し、それがデジタルコミュニケーションを取り巻く大きな潮流となっているのが今の状況です。これまでクローズドな環境でバラバラに行われていたものづくりを、ひとつにつなぎ合わせることで、みんなでハッピーになれる世界をつくろうというのが、オープン化の根底にある思想になっています。


私たちカブクが運営する「Rinkak(リンカク)」では、クリエイターが作成した3Dデータを、産業用3Dプリンターを使って製造し、さらに、それをWebサイト上で在庫レスで販売までできるマーケットプレイスを提供しています。
設計から製造、販売まで、すべてを3Dデータ作成ツール・インターネット・3Dプリンターというデジタルコミュニケーションの中で完結させてしまう試みであり、このプラットフォームを拠点に、さまざまなつながりが生まれています。

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さまざまなアクセサリパーツやプロダクトの3Dモデルデータが、共有サイト上にアップされており、取得したいデータがあれば手軽にダウンロードすることができます。そして、そのデータに別のエンジニアが改良を加えて、またアップロードし、さらに別の誰かがアレンジを加えるなど、共有サイトをプラットフォームにした新しいコミュニティが生まれています。

この数年間で、3Dプリンタやパソコンのコストパフォーマンスもますます向上し、デジタルなものづくりを取り巻くインフラは急速に整備されています。こうした環境は、オープンイノベーションに取り組む多くの企業を、強力に後押ししてくれるものになることでしょう。

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株式会社カブク 代表取締役 稲田 雅彦
東京大学大学院修了(コンピュータサイエンス)。大学院にて人工知能の研究に従事。修了後、博報堂入社。入社当初から、様々な業種の新規事業開発、統合コミュニケーション戦略立案、クリエイティブ企画開発、システム開発を行う。カンヌ、アドフェスト、ロンドン広告祭、TIAAなど、受賞歴多数。2013年株式会社カブクを設立。主な著書「3Dプリンター実用ガイド」など。3Dプリント技術を使った デジタルものづくりサービス「rinkak」を運営。

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