3Dプリンタコラム

3D プリンター どう使う?どう変わる?第4回

「在庫管理」や「輸送」の常識が変わる?3Dプリンタで物流コスト削減

2015年4月2日  執筆者:Stratasys Japan

在庫をモノではなく、3Dデータで管理する時代へ

企業がモノをつくって売るとき、あるいはモノを仕入れて売るとき、過剰な「在庫」はコストとリスクにつながります。「できることなら無駄な在庫は抱えたくない」というのは、多くの人の願いではないでしょうか。

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3Dプリンタは、こうした在庫管理の課題を解消していく可能性を持っています。


金型をつくらず、3Dデータからダイレクトに製品をつくる DDM(ダイレクトデジタルマニュファクチャリング)」のコラムでは、3Dプリンタを使って3Dデータから最終製品を直接製作する「DDM(Direct Digital Manufacturing)」という試みを紹介しました。


3Dプリンタで最終製品を造形するようになれば、製品を個別に最適化させる生産スタイル「マス・カスタマイゼーション」が可能になります。
大量生産型のものづくりは今後も継続されると考えられますが、その一方で個別最適化のものづくりが進むことにより、「在庫」というものが大きく減っていく可能性があります。
さらに、3Dデータから直接製品をつくることで、これまで成形に用いていた金型や治具などの置き場所も不要になっていくでしょう。


大量生産の現場においても、3Dプリンタは力を発揮します。仮に1万個の部品を受注した場合、ぴったり1万個だけを生産すれば良いというわけではなく、不具合や欠品、交換に備えて多めに部品をつくっておき、「スペアパーツ(予備品)」や「サービスパーツ(保守部品)」と呼ばれる在庫を抱えることが一般的です。
しかし、おおもとの製品が製造中止になったり、仕様変更が発生したりして、こうした部品の多くがムダになってしまうケースがあります。また、たとえ製造が中止になったとしても、企業的責任としてメンテナンスや交換に対応するため、一定期間以上は在庫を保有しておく必要があります。
これがもし3Dプリンタで製造可能な部品であれば、在庫をモノとして持ち続けるのではなく、3Dデータとしてパソコンに保存しておくだけで済むようになります。オンデマンドで交換パーツの注文を受け付け、3Dプリンタで必要な部品を必要な数だけ生産するサービスも、すでに生まれてきています。

3Dプリンタで、在庫管理と輸送を不要に

ここで、前回のブログでもご紹介した矯正歯科専門の歯科技工所、株式会社ASOインターナショナルの事例をご紹介します。国内外から送られてくる患者の歯形データをもとに3Dプリンタで歯形を成形し、受注拡大につなげている同社。実は、3Dプリンタを導入したことで、「歯型保管の省スペース化・省力化」というメリットも生まれています。
矯正歯科では、患者ごとの歯型や平行模型を保管する必要があり、その数は膨大な量にのぼっていました。それらをデータで保管し、必要に応じて3Dプリンタで成形することで、保管スペースと管理コストを大幅に削減することができたのです。


さらに、ASOインターナショナルは、3Dプリンタと3Dデータを活用して「輸送コストの削減」も実現しています。病院や歯科医からの歯型の発注は、一旦すべて本社に集約され、地方の営業所にふりわけられます。このとき、歯型の石膏模型を一つひとつ営業所に発送していたのでは、コストも時間もかかってしまいます。また、細密さが求められる石膏模型は取り扱いもデリケートであり、輸送中の破損といったリスクも懸念されます。
そこで、各営業所に3Dプリンタを設置。歯型の3Dデータを送り、成形は各営業所で行うことにより、輸送コストを無くすとともに、よりスピーディな歯型成形が可能になりました。さらに、16μmの積層ピッチで精密かつ滑らかなサーフェイスを実現しています。

患者の石膏歯型(左)を精密に再現する3Dプリントモデル(右)

これは歯科業界での一例ですが、さまざまな業界において同様のメリットが期待されます。


輸送においては、NASAが地球からデータを送って国際宇宙ステーションの3Dプリンタで出力したという事例も生まれており、そのコスト削減効果は巨大な可能性を秘めています。

新製品開発や、製品のサプライチェーンにも、変革の兆し

このような3Dプリンタと3Dデータの活用は、ものづくりに関わるさまざまな場面にメリットをもたらすと考えられます。たとえば、製品開発の現場。近年では、国内外の離れた拠点とともに開発を進めるケースも増えています。試作品の確認を行う際などに、モノではなく3Dデータを送り、現地で出力してもらうことで、海外であっても輸送コストを抑えつつ、速やかな意思疎通を図ることができるようになります。
また、製品のサプライチェーンそのものが、3Dプリンタによって近い将来塗り変わるという見方もあります。現在はアジアが“世界の工場”と呼ばれ、中国やASEANに生産機能が集中していますが、3Dプリンタがその生産機能を分散させていくと予見されているのです。

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消費地のすぐそばに製造拠点を展開させ、世界中のあらゆる製品を3Dデータで取り寄せる。そして、3Dプリンタによってその場で製造し、すぐにユーザーのもとへ届ける。
3Dプリンタの活用がさらに進めば、地域や距離を超えた、新しいビジネスモデルが生まれていくかもしれません。

輸送が困難な場所でも、3Dプリンタが活躍

これまでは物資の輸送が困難であった状況においても、3Dプリンタの活躍が期待されています。デンマークの国際海運会社マースクは、船舶に3Dプリンタを設置。航海中に船の故障などが生じた場合、必要となるパーツを3Dプリンタで成形することで、トラブル対応にかかる時間を大きく削減するという試みがなされています。また、航空機や宇宙ステーションでも運行中に必要が生じたものを3Dプリンタで随時補給するという動きが生まれてきています。(参照元:世界の3Dプリンターニュース)

まとめ

3Dプリンタは、「在庫管理」にかかっていたスペースやコスト、人手を大きく低減させる。
また、各拠点に3Dプリンタを設置することにより、製品や試作品をモノで「輸送」するのではなく、3Dデータでタイムリーにやり取りできるようになる。こうした利点を活かせば、地域や距離の制約を越えた、新しいビジネスモデルが可能になるかもしれない。

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