3Dプリンタコラム

オープンイノベーションがもたらすものづくり革命 第2回

企業と生活者 共創型のものづくりが始まった

2015年2月27日  執筆者:株式会社カブク 稲田 雅彦

進化するものづくり イノベーション3.0

日本においても、まだ先駆的な一部の企業においてではあるものの、オープンイノベーション型の商品開発・ものづくりへのシフトが進みつつあります。私たちが3Dプリンタを活用し、お客様のオープンイノベーションの実践を支援させていただく場面では、「イノベーション3.0」という概念を用いて、新しい仕組みづくりに取り組んでいます。


イノベーション3.0という考え方

イノベーション1.0 :クローズドイノベーション

従来から、そして、今でも多くの企業で行われている、企業主体のものづくり。グループインタビューやフォーカスインタビューにより生活者の声をヒアリングすることはあるものの、そこで見つかった課題に対する解決策を考えたり、新たな機能を開発したりすることは、すべて企業内部で行われます。
社内から自ずと革新的なアイデアやチャレンジが生まれていた時期は良かったのですが、企業という閉じられた環境の中でのものづくりは、日本の産業界に閉塞感を生む一因ともなっています。

イノベーション2.0 :プレ・オープンイノベーション

生活者・顧客をピラミッド化し、商品への関心やリテラシーの高い上位数%の優良顧客を抽出。その中からコミュニティをつくり、活発な意見交換や、ときには改善の提案なども受けながら、企業と一部の顧客がものづくりを進めるスタイルです。たとえば、MROC(エムロック)やエスノグラフィーというマーケティングリサーチ手法が知られ、一部の企業で導入・実践されています。
しかし、主体はあくまで企業の側にあり、関わる顧客もごく少数であることから、まだまだ限定的な環境の中での、ものづくりとなります。

イノベーション3.0 :オープンイノベーション

企業と生活者が、よりフラットに、より緊密につながり、一緒に製品をつくり進化させていく、共創型のものづくりです。企業がこれまで社内に留めていた情報をオープンにすることで、多くの生活者を巻き込み、多くのパートナーを得ることができます。
オープンイノベーション型のものづくりでは、幅広い生活者が、アイデアの発案や技術改良に直接コミットできる可能性を持ち、かつてないほどの多様性やスピード感を生んでいきます。

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では具体的に、「イノベーション3.0~オープンイノベーション型のものづくり~」とはどのようなものなのでしょうか?ここからは、ケーススタディとして3つの事例をご紹介します。

CASE STUDY1 42万人が参加する商品開発プラットフォーム Quirky

オープンイノベーションという概念が生んだ国アメリカでは、個人主体型のものづくりや、企業と個人の共創型のものづくりが発達しています。ニューヨークを拠点に運営されているものづくりのプラットフォーム「Quirky(クァーキー)」。42万人を超える会員がコミュニティに登録し、生活者の視点からさまざまなアイデアが具現化・商品化されています。商品にコミットした会員に対しては、報酬も支払われます。


また、GE(ゼネラル・エレクトリック)が出資・提携し、同社が保有する約200の特許を公開。共同開発により、5年間でインターネット家電を新たに30種類発売することをめざしています。

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CASE STUDY2 電気の新しいスタイルを提案 amidus

日本国内でも、共創型のものづくりプラットフォームが生まれています。その代表的なコミュニティのひとつが「amidus(アミダス)」。企業とユーザー、多彩なクリエーターが結びつき、企画からコンセプトメイク・試作・販売まで、あらゆるプロセスがオープンにされ、ユニークなアイデアやプロダクトが生まれています。


たとえば、日産の電気自動車リーフの新しい活用法を試みるイベントが、新潟県のスノーピーク ヘッドクォーターズキャンプフィールドというキャンプ場で開催されました。電気自動車を“大容量電源”として屋外で家電やプロジェクターを動かすという、新しいアウトドアの可能性が実験されました。


また、よりスタイリッシュに電源を持ち運べないかという発想から、「W.E.R(ウェア)」というボトル型のバッテリーが誕生。ユーザーの視点から「こんなものがあればいい」というアイデアやプロダクトを生み出すamidusの活動は、多くの人の注目を集めています。

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CASE STUDY3 カメラの技術をオープンに OPC Hack & Make Project

国内メーカー発のプロジェクトも生まれています。オリンパスが2014年に立ち上げた「OPC Hack & Make Project」は、カメラの技術をオープンにし、アプリケーション開発キット(SDK)や、ボディ外形などの3DCADデータをインターネット上で公開。ユーザーやディベロッパーが自由に情報をハックし、カメラと連動したスマートフォンアプリをつくったり、3Dプリンタで新しいアクセサリーをつくったりすることができるプロジェクトです。ここから生まれたアイデアは、イベントやWEBを通してシェアされていきます。

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オープンイノベーションによって、企業はこれまで社内で保護されてきたアイデア・技術の機密性を手放すかわりに、より多くのものを手にできる可能性があります。そして、期待とチャレンジ精神とを持って、新しいものづくりに取り組む企業が、すでに国内外で現れ始めています。日々さまざまな企業の方と接する中で、こうした動きは日本でもさらに加速しつつあると感じています。

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株式会社カブク 代表取締役 稲田 雅彦
東京大学大学院修了(コンピュータサイエンス)。大学院にて人工知能の研究に従事。修了後、博報堂入社。入社当初から、様々な業種の新規事業開発、統合コミュニケーション戦略立案、クリエイティブ企画開発、システム開発を行う。カンヌ、アドフェスト、ロンドン広告祭、TIAAなど、受賞歴多数。2013年株式会社カブクを設立。主な著書「3Dプリンター実用ガイド」など。3Dプリント技術を使った デジタルものづくりサービス「rinkak」を運営。

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